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日独小児靴学ドイツ視察&研修のご報告

11月27日〜12月4日まで「日独小児靴学ドイツ視察&研修」に行って参りました。
常任講師のマイスター ベーレ・ルッツと日独通訳者のベーレ操さんのコーーディネートとアテンドで、参加メンバーは、共同代表の私、伊藤笑子と事務局長の曽根亘元、JAGSSメンバーからは新潟の山田宏大さん。

共同代表の塩之谷 香先生とご同行の整形外科医のドクターチームと前半の2日間ご一緒し、67日で、以下のメニューを敢行してきました。

【現地の最新情報を求めて】

1.ドイツの国内の子供の足と靴の現状の視察

2.「ドイツ国際平和村」の視察
 ・ドイツ国際平和村の作業療法士による紛争地域から送られてくる子どもたちの足部治療とリハビリの現状

3.一般、障がい児混合幼稚園「ALSBACHTAL」の視察
 ・理学療法士による障がい児の幼稚園生活とリハビリ
 ・一般、障がい児混合幼稚園の一般児の靴の実態調査(室内履きと通園靴)

4.「障がい健常者共存基金村」の視察
 ・障がい者の自立生活と治療、リハビリサポート

5.一般幼稚園の視察
 ・5歳児の足型計測(10名)
 ・一般幼稚園の靴の実態調査(室内履きと通園靴)
 ・一般幼稚園の園長へのインタビュー(幼稚園児の運動、靴の意識、靴の教育について等)
 ・一般幼稚園の PTA会長へのインタビュー(子ども靴の意識、靴の教育について等)

6.整形靴・小児リハ靴・足底板メーカーSchein社の視察
 ・小児専門理学療法士によるセミナー、歩行分析体験

7.国立マイスター学校ハノーファー校の視察
 ・整形外科靴マイスターのベットヒャー氏による歩行分析セミナー

8.各地域での歩行者の靴、子どもの歩行と靴チェック
 ブレーメン、ハノーファー、デュッセルドルフ、バートナウハイム等

9.有名靴店、デパート、アウトレット、量販店の各子供靴売場の視察
 品揃え、客層などの調査

10.日本人保護者へのインタビュー
 ドイツのシュタイナー幼稚園に通わせている方の子ども足と靴の意識、日独格差について等

何よりの収穫は、私の無理なお願いであった「一般幼稚園に入り、子供たちの足型計測と靴実態を調べたい」というリクエストは、今年は幼稚園に訪問し、ご挨拶だけで終わることも承知で伺いましたが、マイスターのコネクションを駆使して実現し、本当に感謝しています。

日本にドイツ靴文化が入ってきて30年。その間に、ドイツでも時代や流行が変遷し、移民による生活や意識の違い、低価格主体の量販店の出現、クロッ◯スの登場など、子どもの足と靴環境の中でも日本と同様の現象が一部で見受けられることもありましたが、日本と根本的に違うのは、

 「子どもの足の成長発達の大切さが当然のように周知徹底されている」
 「足を守るために “靴の重要性や価値” も当然のように理解されている」
 「指導者・管理者であっても、個人の衣服や靴を指定することはない」
 「子どもの衣食の判断や責任は、基本的にはその親に委ねられている」

こういうベースの上で「健康観=足の健康は大切である→子供靴は重要である」ということが揺るがずにある、ということをまざまざと実感しました。

日本の靴文化が成熟しないまま、販売者の意識も消費者の知識も変わらず、保育・教育の現場でも足や靴が軽視されたままで、ドイツのいいところだけを模倣しようとしても、それはうまくいくわけがありません。

今回、最新情報を求めて現地調査し、今まで日本で語り継がれてきた「ドイツの子供靴の教育と文化」には、もう少し地域性、時代性、客観性が必要なことと、経済や流行によって変遷している部分もあることも考慮し、アップデートされた最新情報で解釈する必要がある、ということを踏まえて、今後の日本での課題も方向性もいろいろ見えた実に有意義な視察と研修でした。

※写真付きドイツの視察記は、ただいま鋭意執筆中です。お楽しみに。

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ブレーメンの600年の歴史を誇る重厚な建物

ブレーメンと石畳の車道と歩道

ブレーメンと石畳の車道と歩道

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ブレーメンのクリスマスマーケット

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有名なグリム童話の物語の一編「ブレーメンの音楽隊」の像

 

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オーバーハウゼン:ドイツ国際平和村にて


最後に、感謝してもしきれないことは、長い行程を私と電動車椅子で渡独した曽根のために、専用の車をチャーターして、マイスター自ら運転して、いつもずっとサポートしてくれたこと。

ドイツの街も人も意識も、本当の意味でのバアフリーであったこと。ここに大いなる敬意と感謝の気持ちを表します。
Herzlichen Dank!!

2017年も同時期(11月下旬から12月初旬)に、研修ツアーを組みます。
このツアーは、JAGSSメンバーだけでなく、広くご参加いただけますので、今回ご参加を見送られた方、改めてご興味を持たれた方、ぜひご一緒しましょう。

日独小児靴学研究会
共同代表 伊藤笑子

 

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