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子ども靴販売員が、信頼されるための5つのヒント

子どもたちの足について、外反扁平足、内反小趾、また、浮き指と言われる状態などの問題が取り上げられる昨今。流行の靴や消費者が求めるサイズを販売していればよかった時代から、子どもの足について様々な心配ごとに答えるための知識が必要な時代になりました。

一方で、靴を販売しない立場で、相談を受けるアドバイザーやカウンセラーという職業の人たちも出てきました。

「子どもの足に合った靴を!」と求める保護者に対して、その最前線にいるのが、シューフィッターやシューアドバイザーなど、子ども靴販売に携わる人々ですが、「子ども靴売場には、頼れるプロがいない」と嘆かれているのも実情なのです。

保護者から信頼されるか、されないか、の違いはいったいどこにあるのでしょうか。
信頼されるプロになるために、5つのヒントをご紹介します。

1. ベビーとキッズの足の違いがわかっていますか?

─── ちゃんとわかっていますよ。赤ちゃんと子どもじゃ、歩き方も足の骨格も違いますから。(子ども靴販売員)

はい、その通りです。でも、国産メーカーの子ども靴のほとんどは、靴をサイズでカテゴリー分けしています。

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では、以下の子どもには、どの靴を選べばいいでしょう?

A)ようやくひとり歩きができた、1歳6ヶ月の男の子
足長 14.0cm 足幅 6.2cm

B)もうスタスタ歩ける、1歳6ヶ月の女の子
足長 13.5cm 足幅 4.5cm

靴のサイズだけで選んでしまうとその子どもの歩行段階や体格と合わなくて、歩きにくかったり、強度が足らなかったりするんです。

2. 大人の靴と同じ方法で販売していませんか?

─── 子どもの足は軟骨だから、しっかりした靴が必要で、裸足感覚も必要だということは知っています。(健康靴販売店店員)

はい。それはとても重要です。それに加えて、子どもは、大人のように「ここが窮屈」「かかとがゆるい」などと的確な情報はくれません。自分の気に入ったキャラクターやブランドの靴なら、小さくても痛くても「大丈夫」って言ってしまうんです。本当にその子どもの足に合っているかどうかの判断は、アドバイスする側が見極めることが必要なんです。

3. 子どもや保護者の言いなりになっていませんか?

─── 子どもの足に明らかによくないものは売りたくないですが、販売職なので販売機会も逃したくないのも現実です……。(靴量販店店員)

子どもを連れてこないで靴を買おうとしたり、「一年履ける大きめの靴が欲しい」と言われたり、足に合わなくても色やデザインだけで選んだり、幼児なのに「ヒールサンダルが履きたい!」とぐずったり……なんていうケースは靴売り場でよく見かけます。でも、そういう靴を子どもに履かせると、どうして足によくないのか? をプロとして毅然と説明できる理論と接客技術が必要です。

4. 通説や本やネット情報で得た知識で説明してませんか?

─── 子どもの足の成長やいい靴のポイントは、いろいろ調べて知っていますよ。(デパート子ども靴売場担当)

すばらしいです。でも、その情報はいつのものですか? 目の前のその子どもにきちんと当てはまることですか? 誰かの受け売りの情報や昔ながらの通説での説明では、今はもう通用しません。根拠や検証のない説明が、あちらこちらで氾濫し、保護者を迷わせているのです。その子ども自身の足や靴を把握した上で、具体的で根拠のある説明をしていく必要があります。

5. 子ども靴にもジャンクシューズあることを知っていますか?

─── ジャンクシューズ? わかりません……。(全員)

成長期の子どもが、カップ麺やファストフードなど、栄養価のバランスを著しく欠いた食品を食べ続ければ、味覚や咀嚼力や身体を作っていく上で、よくないことは周知されています。常食するのはよくないとわかっていながら、必要に応じて選択して与えているのです。

では、靴はどうでしょう? 市場に売られている子ども靴には、安価なだけの機能性の乏しいものもあります。それは市場の原理です。でも、そのいわゆるジャンクシューズを安くて手軽だからという理由で、骨格と歩行が完成していない幼児期に常用し続けると身体への悪影響を及ぼすこともあることは、まだまだ知られていません。

どんなものにもメリットとデメリットがあります。
靴だってそうです。流行の安くて軽いだけのスポッと履ける合成樹脂製のサンダルや、人気商品ですが一ヶ月で変形してしまう運動靴など、子どもに与えるには注意が必要な靴が、市場にあふれています。

これからの時代に信頼される専門家として、子どもの足と靴のことを提言するには、子どもの足を知り、子ども靴の品質と機能を客観的に見極められ、的確なアドバイスと靴の選択ができることと、保護者に対して靴の正しい選択方法や使い方を促していく靴教育も必要なのです。

いかがですか? まだまだありますが、それは研修の中でお話していきます。

そして、現場で必要なチェック法やアドバイス法、シューフィッテング技術を修得していただく実技もしていきます。

きっと今までの悩みや問題が、一瞬で解決できるキッカケをつかむことができるはずですよ。

itoh伊藤笑子(マスターシューズアドバイザー)
保健学
修士

 

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