Q1. 靴店です。大人靴しか扱っていませんが、それでも受講する価値はありますか?
A1. 靴の販売に携わる人の多くは、まだまだ、足部解剖学や足部の機能を学ぶことなく、現場で修得した靴の構造やシューフィッテングの知識のみで、婦人靴や紳士靴を販売しているケースが多くありますが、足部のトラブルや問題を抱えた人々に靴を販売する機会も少なくありません。
一般的な既成靴は、変形や痛みがある人の足を想定して製造されている訳ではないため、足の問題と靴のよりよい適合をどう考えるか? は、とても難しい問題です。
「どんな靴を履いても足に合わない」と感じるお客様が多い一方で、「どんな靴を履いていても別に気にならない」というお客様もいて、この差は、どこにあるのでしょう?
ヒトは、産まれて1年ほどで歩き出し、それから一生の大半をなにがしかの履きものを履いて過ごすことになりますが、「子ども時代の靴の感覚が一生の足感覚になる」ということを、日本では親も教育者も医療でも誰も提唱してきませんでした。
「ゆるくて簡単に履ける靴が楽だ」と思う、その感覚が、成長期の足をきちんと育てないまま、やがて足の骨格を崩し、変形や痛みを産み出す悪循環は、子ども時代からの靴の正しい履き方や選び方の啓発とともに靴を販売することで、是正できると思います。
現在、子ども靴の扱いがないから小児の足と靴は詳しく知らなくていいというのではなく、小児期からの足の形成についてや子ども時代に履く靴の適合を体系的に学んだ上で、さらに成人期の婦人靴や紳士靴について確かな提案ができるその技能は、必ず他店にはない強みになると思います。
また、将来、足のトラブルや靴選びに困る人々を少なくするためにも、これからの靴店は、子ども時代にこそ高品質な靴選びを提案するスタイルを構築していくことで、より高い専門性を示し、顧客満足と潜在的ニーズに応えていけるのだと考えます。
小児靴学のプライマリーの [保健学][小児靴][カウンセリング] の単元では、成人よりも難しい「小児の足部変形と観察・分析法」を修得し、「小児の様々な問題による立位と歩行」を正しく理解できる ように、以下のような講義と実技を伴った実践的な研修を行います。
[小児靴]
小児靴の役割・構造・分類・機能・評価
小児の足型計測・初期分析・観察・チェック
小児の年代別、足部形状別選択
靴の適合と木型、性能別選択と歩行チェック
[保健学]
小児の身体と発達、足部の成長、歩行と運動
[カウンセリング]
主訴・問題点の整理・検討・提案
足部、歩行に問題のあるケースの検討
非医療現場での総合的判断
※研修には座学と演習があります。
また、[整形外科][足部解剖][分析評価][足部機能]などと連動し、体系的に学べるプログラムになっています。
小児、成人の区別なく学び、真の専門者になっていただくために、ぜひ小児の足と靴の適合について、学んでいただければと思います。