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日本における「足育」啓発の行く末は?

「子どもの健康な身体作りのために」「一生歩ける足を作るために」というすばらしい大義のもとに、学びを求める一般の方々や、知識を求める保護者が増えて、子どもの足と靴について様々な情報が行き交っています。

日本の子ども靴に対する認識は、長い歴史の変遷の中で、その本質を商業主義に委ねて来たことで、子どもの身体や運動との相関性を熟考することなく今に至っています。

一方で、知りたい人と教えたい人の間にニーズが生まれ、「足育」がカルチャービジネス化するのに時間はかかりませんでした。

しかし、果たしてそれでよいのでしょうか?
子どもの「生体」にかかわることに対して、体系的な専門教育を受けることなく、実務経験も不十分なまま「足育の専門家」として語るその内容の影響力を考えるたびに、専門知識はもちろん、職域を認識したリテラシーを知る必要性を痛感しています。また、子どもの健康な身体を作るための「小児の足と子供靴の適合」の知識を含むなら、日本で唯一の「小児靴学」を構築し、専門者研修を行っている日独小児靴学研究会で小児の足と靴について、基礎からきちんと学んでいただきたいと思います。

日本における有用な「足育」のゴールは、家庭での子どもの足と靴についての意識改革のみならず、「専門者養成」「医療をはじめとする他職種連携」「靴業界の成熟化」など、関係各者がきちんと協調し合い、一歩一歩確実に押し進めていくことで初めて「子どもの足と靴」にまつわる様々な課題と長年にわたる複雑な状況を改善する手だてとなり、ようやく結実するのだと考えます。

間違っても、「足育」が時流に乗った資格ビジネスやプチ起業のひとつとして簡単に扱われ、間違った提言や判断を加えてしまい、結果的に不信用を招くことになってはならないのです。

今、必要なことは、発信者は各々の立場で、正しい情報を正しい手法で行い、受信者は情報を精査する目と耳を持っていただきたい、ということ。

そして、大人たちひとりひとりが、子どもたちの足にもう少し関心を持ち、日本における靴の間違った習慣や意識を改善し、靴環境をよりよく整え、定着させていくことだと思います。

身近すぎるテーマゆえに、誰でも簡単に着手できるように見えますが、その実、様々な背景があり、デリケートな問題も孕んでいます。自分の職域を超える事なく、そして、未来に向かう流れを澱ませることなく、進めていけるよう、心から願っています。

日独小児靴学研究会では、体系的な専門知識の研修を行いながら、日本における新しい見地の「小児靴学」を元に、子どもの足と靴におけるスタンダードを構築し「足育の専門者」として、各々の職域で役立つ人材を養成できるよう、尽力していきます。

日独小児靴学研究会
共同代表 伊藤笑子

 

【小児靴学プライマリー基礎2・ランチョンセミナー】では、靴ジャーナリストの大谷知子氏をゲスト講師にお迎えします。

大谷知子日独小児靴学研究会のプライマリー研修・基礎2の2日目
2016年8月11日(木/祝)(単日コースプログラム)
[ランチョンセミナー]大谷 知子

『私が子ども靴の本を書いた訳』
靴が子供の発育に影響する!と警告した「子供靴はこんなに怖い」というセンセーショナルなタイトルの本が出版されたのが1996年。今から、丁度、20年前です。この20年、何度となく繰り返された「子どもの足と靴」についての啓発活動と靴業界の歴史を生き字引のごとく見てこられ、記事にしてこられた第一線の靴ジャーナリストの視点から、業界の問題点や消費者動向、子ども靴の変遷、現代における課題をご講義いただきます。


 

 

 

プライマリー・単日聴講コース お申込みフォーム

日独小児靴学研究会
日独小児靴学研究会
の《小児靴学・プライマリー全日程コース》は、専門者としての先人たちの30年の投資と継続と実績を元にした「一年で基礎を体系的に学べるプログラム」にて、しっかりと体系立てて修得していただけるよう組み立てています。

足部解剖学の基礎的な知識だけでなく、実際に子どもたちにも参加してもらう実技演習があります。
大人の足の評価や対処とは違う、小児の足に特化したプログラムです。

子どもの足と靴に関するセミナーは、単発的なのものや医療監修されていない一般向けの入門編的なものは散見されますが、専門者向けの科学的検証に基づいたコース立ての研修は、日本にはありません。

子どもの足にかかわるすべての人たちに小児靴学を学んでいただき、ご参加の皆さんと共に「子どもの足と靴のガイドライン」を構築し、発信して行きたいと思います。

プライマリー全日程修了者には、修了認定書をお渡しします。
また正会員の資格を取得の上、【アドバンス】とブラッシュアップ研修に参加可能となります。

子どもの足の成長と発達と子ども靴についての専門的見地を持ち合わせた日独小児靴学研究会正会員の誕生にご期待下さい。

■ 日独小児靴学研究会ホームページ
■ プライマリー概要

プライマリー・単日聴講コース お申込みフォーム

【常任講師】
塩之谷 香(整形外科医)
整形外科医からの見地として、外来での診察基準、小児の下肢についての様々な症例、外科的処置と保存療法の検討、専門職連携システム、医療と非医療の棲み分けについて、etc…
子どもさんにご協力いただき、診断のデモもしていただきます。

ベーレ ルッツ(整形外科靴マイスター)
マイスターからの見地として、足部解剖学や機能学、フットプリント、スタティックとダイナミックの観察と評価など、医療と非医療をつなぐ整形靴技術の元となる知識を系統立て、座学だけでなく、子どもさんにご協力いただき、実技指導もしていただきます。

伊藤 笑子(マスターシューアドバイザー
シューアドバイザーの見地から、子どもの足をファーストシューズという入口の段階から、非医療としてかかわり、足と歩行と靴の適合をどのように考えるか?市販の靴の評価、適合判断の仕方。
成長発達の中で発生するトラブルに対して、医療にバトンタッチできるスクリーニングスキルをどう身につけるか?保護者に対して、実際にどういう説明が必要かつ有効かのカウンセリング方法など、座学だけでなく、子どもさんにご協力いただき、実技指導もしていただきます。

【ゲスト講師】
松田 隆(小児科医)
歩育を実践し、子どもたちの足を見てきた経験から、
『小児科医が提唱する子どもの健やかな成長発達を促す取り組みー土踏まずの形成からみた足元からの健康づくりー』

多和田 忍(小児整形外科医)
障害児診療と小児リハビリを積極的に行う小児整形外科医の見地から、
『発達障害・ダウン症・各種運動障害を持つこどもたちの、運動発達・姿勢・歩行の特徴』

◉その他の先生方も交渉中です。

【プレゼンテーター】
◉ベーレ 操(日独通訳者)
渡独後、ドイツ医療制度の恩恵を直に体験した見地から、
『ドイツ小児靴教育文化Ⅱ』として、足靴を囲む職業連携とその歴史と最新独事情や小児足靴教育事情など、ランチョンセミナーとしてお話いだきます。赤ちゃんの足4

【トピックス】
研修期間中の11月末〜12月初旬には、ドイツ研修を実施します!
通常では見学できない障害児幼稚園施設、OSM子ども靴専門店の見学とセミナー、こ の時期のドイツ必見のデュッセルドルフとブレーメンのクリスマスマルクト観光も入った豪華研修です。

ドイツクリスマスマーケット

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