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第二期小児靴学プライマリー研修基礎2のご報告

京都三大祭りのひとつである「祇園祭の山鉾巡行」の7月17日と18日に開催した日独小児靴学研究会・第二期小児靴学プライマリー「基礎2」が無事終了しました。
整形外科学、解剖学、発達学、神経学、運動学、小児学、靴教育学、シューフィッティング…を取りまとめた小児靴学。難しいけれど、避けて通れない学びをメンバー全員でひとつひとつクリアしています。

[1日目]
1限目:講義(常任講師 伊藤笑子)
第2章 小児の成長と発達
2.小児の身体と発達 II

4.小児の足部の成長 II

2限目:講義(常任講師 伊藤笑子)
第2章 小児の成長と発達

6.小児の歩行と運動 II

1限目と2限目の午前は、マスターシューアドバイザーおよび保健学の伊藤笑子の講義。基礎1で塩之谷 香医師からの講義をさらに深め、人間発達学からみた小児の成長と発達の講義。
昨年度は、1コマで、大容量の講義内容と猛スピートで進めたこともあり、フォローアップでもう一度同じ講義をしてほしいというリクエストが出たほどだったので、2コマに増やし、細分化して掘り下げた内容に再編成。
小児の身体の成長と発達として、ことばの定義からはじまり、原始反射、運動機能の発達、運動発達のめやす、運動機能の発達、感覚器、歩行から観察する運動発達、体性感覚野、小児の足部の成長、小児の年代別・身体と足のサイズ、小児の年代別・身体と足のサイズの変化、正常歩行時の筋肉の働き、小児の歩行と運動、歩行動作の発達、独立歩行の歩容 独立歩行開始時、乳児型歩行から幼児型歩行へ、小児の運動能力の向上、近年の小児の体力・運動能力の低下の問題、小児の歩行量の目安。….と子ども靴を考える前におさえておかなければならない小児の成長と発達と運動、歩行を整理しました。
医療資格者が多い二期ですが「小児」については分野外の方がほとんどのため、復習の側面ももちつつ〝小児は大人とは異分野〟であるという認識を踏まえて習得していただきたい単元でした。

 

 

[ランチョンセミナー] 靴ジャーナリスト 大谷知子
私が子供靴の本を書いた訳II

お昼休み時間には、『子供靴はこんなに怖い』の著者であり、靴ジャーナリストの大谷知子氏によるランチョンセミナー。今年もお話をしていただきたくて京都までお越しいただきました。子供靴市場の現状についてや靴そのものの文化的背景について、今後の課題など、大谷さんだからこそわかる、そして言及できることをズバッとお話いただきました。「子ども靴が大切だと言うだけではだめで、実行動として何がハードルで、その先をどうするか ? 最終コマのまとめのセッションで話し合うための前振りをいただきました。

 

 

3限目:講義(常任講師 塩之谷 香)
第5章 小児の疾患と整形外科的知識
3.先天性疾患と足部変形

4限目:講義(常任講師 塩之谷 香)
第10章 小児の足と靴教育の啓発活動・靴の歴史・ドイツ靴文化
3.靴医学とエビデンス「外反母趾AtoZ」

3限目と4限目は、整形外科医塩之谷 香医師の講義。臨床現場で診察される様々な先天性の疾患や足部変形をすべてオリジナル写真とともに講義される貴重なコマです。
先天性内反足、裂足、多趾症、合趾症、第4趾短縮症、絞扼輪症候群、アペール症候群、巨趾症、外反偏平足、麻痺性疾患など、医療現場でも稀である症例から、非医療現場でも散見されるものまで、原因と診察ポイント、治療方針など、治療者である医師の側を知る手立てとなる唯一無二の圧巻の講義でした。
また、小児というくくりだけではない講義として、一般によく知られている「外反母趾」についての様々な情報を精査する知識として、情報のフィルタリングスキルである「エビデンスのグレードを知る」という大変タメになる単元を二期から増設。
情報過多の時代、発信する側、受ける側、どちらにも客観性や多角的視点が求められています。そのためにも「エビデンスにもグレードがある」という視点に立つとより学術的、医学的見地が得られるようになります。

 

 

まとめ:質疑疑応(常任講師 塩之谷 香、伊藤笑子 ゲスト講師 大谷知子)

大谷知子氏の『子供靴はこんなに怖い』が出版された20年経ちますが、未だに子供靴の重要性が広まらない原因に、靴を販売している大半の人たちの靴の知識不足、いい靴の定義があいまいである、いい靴が簡単に手に入らないという製造販売流通の問題と、保護者や教育者、治療者が足の知識がない、足の重要性についての公式な啓発がないという問題があり、知識を基準化して普及させるためにも、日独小児靴学研究会の役割りを再確認しました。

 

[2日目]
1限目:講義(常任講師 ベーレルッツ)
第5章 小児の疾患と整形外科的知識
3.先天性疾患と足部変形

2限目:講義・実習(常任講師 ベーレルッツ)
第5章 小児の疾患と整形外科的知識 

4.様々な疾患による足部変形と歩行

2日目の午前は、整形靴マイスター ベーレルッツ氏による講義と実習。
整形靴マイスターの見地から、もう一度、先天性疾患と足部変形を学習します。扁平足、外反足、内反足、凹足、尖足、踵足、内転足、第1ケーラー病、第2ケーラー病、ペルテス病。その原因と整形靴技術による対処方法を講義していただきました。
また、足部観察における3重要関節、ニュートラルゼロメゾット、足関節のニュートラルメゾットと可動域手順と手技を実技を交えた講義ののち、様々な疾患による足部変形と歩行として、小児の足と歩行を観察するためのポイントと方法を習得するために、まずは成人を対象とした実習として行いました。

 

 

3限目:講義(常任講師 伊藤笑子)
第6章 小児靴の知識
2.小児靴の構造

3.小児靴の分類
4.小児の歩行の発達と靴の機能

4限目:実習(常任講師 伊藤笑子)
第7章 小児靴のシューフィッテング
1.小児の年代による靴の選択と適合

午後からは、マスターシューアドバイザーおよび保健学の伊藤笑子の講義と実習。
小児は発達段階にあり、その発達段階に応じて靴に必要な機能も変わるということが知られていません。また子供靴はメーカーが独自に考えたコンセプトに基づいて製造されており、「良い・悪い」という概念で分類することはできません。そこで、子どもの足は大人とどのように違うのかを知り、理解することで必要な機能が明確になる。小児靴に考慮する10の課題に対し、靴はどのような構造や機能が必要かを検討し、1.小児の年代による靴の分類 2.足部形態の問題点と靴の改善点を統合し、日独小児靴学研究会が示す「小児靴に必要な10の機能」について講義しました。
その知識をもとに様々な年代の子どもたちにモデル参加していただき、足、歩行、靴を計測、観察、ヒアリング、靴のフィッティングを多角的に観察し、適合する靴を考察しました。同じ年齢であっても、身体形態や発達には個人差があり、靴をサイズだけで選ぶのでは不十分であることを実習で学んでいただきました。

 

 

 

 

まとめ:質疑疑応(常任講師 ベーレルッツ、伊藤笑子)

受講者は成人であり、自身の足部の形態も長年見慣れているはずではありますが、例えば「ハグルンド」がある受講者が数名いました。「ハグルンド」は痛みがないことも多く、しかし、靴選びの際に考慮すべき点があります。こうして、自分の足についても再認識し、靴の適合を考えるという繰り返しの作業によって、相談者に対して何をするべきか ? を知る手立てになると思います。

 

小児靴学といえども、成人の足、靴、歩行の学びにも通じてます。各々の現場に帰って、この知識と技術を活かして、生活者の皆さまにお役に立てますように頑張っていただきたいと思います。
最後に、今回も実技研修のモデルとしてご参加下さったくださったお子さんたちとお母様方に感謝いたします。どうもありがとうございました。次回もぜひ多くのご参加、ご協力をお願いいたします。

日独小児靴学研究会
共同代表 伊藤笑子

 

日独小児靴学研究会

日独小児靴学研究会の《小児靴学・プライマリー全日程コース》は、専門者としての先人たちの30年の投資と継続と実績を元にした「一年で基礎を体系的に学べるプログラム」にて、しっかりと体系立てて修得していただけるよう組み立てています。足部解剖学の基礎的な知識だけでなく、実際に子どもたちにも参加してもらう実技演習があります。大人の足の評価や対処とは違う、小児の足に特化したプログラムです。

子どもの足と靴に関するセミナーは、単発的なのものや医療監修されていない一般向けの入門編的なものは散見されますが、専門者向けの科学的検証に基づいたコース立ての研修は、日本にはありません。子どもの足にかかわるすべての人たちに小児靴学を学んでいただき、ご参加の皆さんと共に「子どもの足と靴のガイドライン」を構築し、発信して行きたいと思います。

プライマリー全日程修了者には、修了認定書をお渡しします。
また正会員の資格を取得の上、【アドバンス】とブラッシュアップ研修に参加可能となります。

日独小児靴学研究会・小児靴学プライマリー研修
プライマリーお申込みページ

小児の足に関わる人のためのプライマリー・全日程コース】 

【2017年度 日程・会場】
基礎1
…2017年 4月23日(日)・ 24日(月) 終了
京都・ハートピア京都(京都府立総合社会福祉会館)

基礎2…2017年 7月17日(月/祝)・18日(火) 終了
京都・ハートピア京都(京都府立総合社会福祉会館)

フォローアップ & 全体MTG & ゲスト講演…2017年 9月17日(日)
京都・メルパルク京都

基礎3…2017年 11月2日(木) ・3日(金)
京都・ハートピア京都(京都府立総合社会福祉会館)

基礎4 & 研究発表会 & レセプション…2018年 2月2日(金) ・3日(土)
京都・メルパルク京都

【定員】
25名

【会員について】
プライマリーにお申し込みの方は、
日独小児靴学研究会の準会員となります。
詳しくは要項をご覧ください。

→ 日独小児靴学研究会 会員要綱(別タブで開きます)

【受講料等】
入会金 20,000円
年会費(準会員) 10,000円
受講料 388,800円(税込/前納)

【特典】
全日程修了者には、修了認定書を発行。
プライマリー修了者は正会員の資格と、
【アドバンス】および定期研修に参加可能。

【常任講師】
塩之谷 香(整形外科医)
整形外科医からの見地として、外来での診察基準、小児の下肢についての様々な症例、外科的処置と保存療法の検討、専門職連携システム、医療と非医療の棲み分けについて、etc…

伊藤 笑子マスターシューアドバイザー・保健学修士)
シューアドバイザーの見地から、子どもの足をファーストシューズという入口の段階から、非医療としてかかわり、足と歩行と靴の適合をどのように考えるか?市販の靴の評価、適合判断の仕方。成長発達の中で発生するトラブルに対して、医療にバトンタッチできるスクリーニングスキルをどう身につけるか?保護者に対して、実際にどういう説明が必要かつ有効かのカウンセリング方法など、座学だけでなく、子どもさんにご協力いただき、実技指導もしていただきます。

ベーレ ルッツ(整形外科靴マイスター)
マイスターからの見地として、足部解剖学や機能学、フットプリント、スタティックとダイナミックの観察と評価など、医療と非医療をつなぐ整形靴技術の元となる知識を系統立て、座学だけでなく、子どもさんにご協力いただき、実技指導もしていただきます。

【日独通訳&コーディネーター】
◉ベーレ 操(日独通訳者)
渡独後、ドイツ医療制度の恩恵を直に体験した見地から、『ドイツ小児靴教育文化Ⅱ』として、足靴を囲む職業連携とその歴史と最新独事情や小児足靴教育事情など、ランチョンセミナーとしてお話いだきます。

【ゲスト講師】
2017年度も小児の足と靴にかかわる一流の講師を招聘いたします。
乞うご期待。

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