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日独小児靴学研究会の目指すところー靴を販売するという立場からー

成長
2月11日の公開セミナーから一週間、本日現在、プライマリーコース全日程コースに22名様、お申し込みいただきました。
ご検討中の方が2名いらっしゃいますが、残り3席となりました。

公開セミナーについてのアンケート結果では、「研究会設立の意味がよくわかり、各々の立場で活かすために、まずはきちんとした研修の必要性を感じた」等々、大多数の方にご満足いただけたようで、お役に立てて嬉しい限りです。ありがとうございます。

一方で、オリエンテーションにおける、研究会とプライマリー受講について、明確なビジョン、方向性、受講によるメリットが明言できていなかったというご指摘も受けました。
特に、靴店さまにおいては、「この研修を受けることで、どういうメリット(経営面としての利益)が得られるのか?」が見えず、将来、回収できないかもしれないセミナー料を投じてまで参加する余裕がない、というご意見もいただきました。

ここで、改めて、靴店を経営する立場の私、伊藤からお話させいただきたいと思います。

靴店経営者である私が、オリエンテーションの場で、ビジネスセミナーのごとく、経営的メリットや収益の面をあえてフォーカスしなかったのには、訳がございます。

小児の足を「ビジネス」として捉える前に、まずは体系的な教育を受けるという真摯な視点に立っていただきたかったからです。

また、様々な分野の方のご参加で、靴店のご参加はとても少なかったこともあり、特定の分野のみメリットがあるような誤解も避けたかったのもあります。

「利益に直結しないことにはアクションがなかなか伴わない古い体質の靴業界ではなく、そこから脱却した新しいスタイルを構築しましょう」
と申し上げたのは「小児の足は利益を生まないけれど、社会活動として意味がある」というボランティア精神だけを求めているのではもちろんありません。

25年かけても尚、日本で子ども靴の市場が拡大しないその因果関係を改善するために様々な検討をし、啓発活動と販売を両輪で行いながらやってきました。
変容する経済環境の中で、苦しくて潰れそうな時もありました。たくさんの借金も抱えました。しかし、現在、V字回復し、子どもの足の健康と靴を求めている消費者の皆さんにご遠方からでもご利用いただけているのは、時代に流されない継続した戦略があり、迎合せずチャレンジしてきた経営方法と何度も波のようにやってくる足育ブームの中で、お客様や医療からホンモノであるという、安心と信頼をご提供できる知識と技術を修得してきたからです。

子どもの足と靴の提唱者が増え、靴をきちんと購入したいという消費者も増えている中で、結局は「そんな靴店がない」ということが消費者を彷徨わせています。ニーズはあるというのに、この25年、同じことが繰り返されています。
子供靴販売に着手する靴店やデパートは、ブームがくるたびに手をつけて、その単体での利益が保てないとやめていく…、その繰り返しの現象により、子供靴市場は信用されず、広がらないまま、今に至っているのです。

日独小児靴学研究会は、子どもの足と靴の大切さを個人の想いとして訴えるのではなく、専門者として社会に対して提唱する役目を担います。
そして、「小児靴学」という正しい知識と技能を持った専門者が販売店に在籍していることで安心を提供し、研鑽を続けていくことで信用されるのだと思います。

また、靴店を持たない立場で、子どもの足と靴の提唱者が増えることにより、独自の解釈で消費者を混乱させるのではなく、足と靴をアドバイスする人々が、専門的な教育を受け、きちんと専門店に繋ぐことで初めて、啓発活動が活かされ、ニーズを創成し、子ども靴市場の拡大ができるのだと思います。

医療において、特に歯科などは今や成人向けの治療は飽和状態で、予防歯科、小児歯科が躍進していると聞きます。
方や、靴メーカーと靴店、フットケアの多くは、高齢化社会に向けて、そちらの需要があると見込んでパイは大きくなっていますが、子ども靴市場は、専門店はこだわりのある人たちだけの嗜好品であるがごとく扱われているため、ますます大手メーカーとネットに台頭され、子ども靴の本質や商品を見極める目が、次世代に受け継がれないまま廃れて行くことを危惧しています。

大多数の靴店やフットケアでは、小児の足を正しく知らず、小児の足の問題の対応経験がない状態でありながら、成人してから足部の悩みを抱えることになった人々の対処はしているということに不思議さを感じませんか?
その足のトラブルの殆どは、乳幼児期からの成長過程における足の形成と靴環境で引き起こしているかも知れないのに…です。

小児の足を知ってこそ、成人の足とトラブルが本当の意味で解るんだ、ということが抜け落ちていることに気がついていないのは、日本で足と靴の相関関係を教え、学んだ人たちの最大の穴だとも思っています。

小児の足や靴を扱わないから学ばなくてもいいというのと、知識はあるけれど扱いがないだけだ、というのとは大きく違います。その知識は、各々の糧となり、他店、他者にはない強みになると思います。

小児、成人の区別なく学んでいることが、本当の意味でのこれからの時代の「足と靴の専門者」ではないでしょうか?

身につけた技能は消費者に安心を与え、信用と継続をもたらし、日本に「廃れない子ども靴市場」を確立させることに繋がるのだと思います。
それが、靴店の、または、足と靴に携わる人々のメリットならないわけがないと思いませんか?

現在の経済では、端的に利益に直結していること、費用対効果ばかりに思考が留まりがちですが、新しい分野を築くのには、それを担う人々の熱意と投資の時代があるのは然りです。その投資は「学び」という一生の糧となるものであり、ご自身や店舗、会社に必要なものだと思います。

小児靴学は、元年です。
ですが、プライマリーは、先人たちの30年の投資と継続と実績を元にした「一年で基礎を体系的に学べるプログラム」に仕上げています。
例えば、私の立場から申し上げれば、個人ではなかなか得られない、何十年と蓄積した子どもの足のデータやエビデンスを用いた子どもの足と靴の適合方法を惜しみなくご提供致します。他の講師の方々の指導内容についても同様です。
それをどう活かすかは、各分野における、個々の技量ではないでしょうか?

高額だとお感じのセミナー料を「事業には活かせない」と解釈されるのは、全くもって見当違いだと説明させていただきたいと思います。

日独小児靴学研究会からは、教育と研修と専門職連携(プライマリー研修と専門者育成とエビデンスの構築)を提供し、受講者の皆さんは、各々の利益構造の構築(専門者としての地位、職域の確立、専門職連携、ネットワーク、販売ルートの拡大、製品化や共同仕入れなど)に活かしていただきたいと思います。

消費者に、子どもの足に、一番近い前線の靴店がこの学びと活動に参画することの意義は大きいです。

靴店が古い体質であることを正しく自覚し、その世間の評価と弱体化している現状をどうやって打破するか?
私は問いたいたくて、公開セミナーの場で「利益に直結しないとアクションを起こさない古い体質の靴業界から脱却してほしい」と申しあげました。

目先の安直な一時的な利益ではなく、本質を見極めた「廃れない技術」を身につけることが、人も、店も、会社も、継続的に潤わせると信じています。
そして、そのメリットを最大に享受するべき一番の存在は、日本の子どもたちなのです!

今一度、製造、販売、医療、保育、教育の各分野からのご参加を心よりお待ちしています。

日独小児靴学研究会
共同代表 伊藤笑子

【小児靴学プライマリー全日程コース】

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